書評

子安宣邦『徂徠学講義』―子安思想史と言説論的転回を問う―

子安思想史(敢えてこう言う)は、従来の思想史とは区別して、自らを「言説論的転回」*1に位置づける。それは、例えば次のようにある、「言説=事件」という方法論的視座を有することによる*2。 「事件」としての徂徠学という私のアプローチは、徂徠の発言が…

「日本人論・日本文化論」批判―島薗進『国家神道と日本人』と東日本大震災直後の言説に向けて―

島薗進が近著『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)で強調するのは次のことである。これは本書のメインテーマであると思われる。本稿は主に、この点に関わって私の考察を述べるものである。 「国家神道とは何か」が見えなくなっているために、日本の文化…