2015-01-01から1年間の記事一覧

「領海侵犯」という被害妄想的虚構

安保法案の条件の1つに、「情勢の変化」が挙げられることは、既に周知の事実であろう。「情勢の変化」とは、具体的には、例えば中国による「領海侵犯」を指すだろう。しかし、これを中国側から見ればどういう見解となるのだろうか。中国の目的は「領海侵犯」…

「非国民よ、お国のために死ね」まであと一歩

7月下旬に、戦争法案に反対する学生団体「SEALDs」に対して、「自己中心的だ」と述べた武藤貴也氏への批判が起こっている。武藤氏は「SEALDs」がだまされている情報を否定し、その根拠として「法案が成立しても戦争に行くことはなく」(『朝日新聞』2015年8…

デモに、民主主義に若者はいないのか

6月18日の投稿「デモに若者がいない悲しさ」を拝読した。民主主義に関する意見には非常に納得した。しかし、一方で強く違和感を持った。14日に行われた集会には「若い人たち」が見当たらないという点についてである。 FacebookなどのSNSをはじめ、インターネ…

安倍政権とはどういう怪物か

7月15日の衆議院特別委員会で、安保法案の強行可決が行われた。16日の朝日新聞の社説や天声人語にもあるように、これは民主主義に対する重大な挑戦となろう。民主主義へ侮辱に侮辱が重ねられる昨今、小田実の「デモクラシー」観に、私は注目している。小田に…

「米歴史研究者らの声明」に見る帝国的依存とメディア

5月8日の「米歴史研究者らの声明」を読んだ。特に従軍慰安婦問題について、安倍首相に「大胆な行動をすること」を期待するという側面もある。しかし私が着目したのは、この声明が「日本の多くの勇気ある歴史家」によるアジアにおける第2次世界大戦の正確かつ…

死語「KY」の温故知新

数年前に、「KY」、すなわち「空気を読めない人間」なる言葉が跋扈したが、もはや「死語」となりつつある。この語は専らネガティヴな言語として消費された。「KY」とされた人間の排除によって、その集団には同一性が保たれる、そうした機能を「KY」は持った…

中国の運動への憧憬とその可能性

『朝日新聞』の1/11の社説では、中国の人々(特に民間レベル)の多様な現状を知る努力の必要性が説かれ、メディア側の責任が自認されている。だが、言うまでもなくこの努力は、私も含め、読者側も必要である。 学生時代から今も交流が続く中国や韓国からの留…

報道されない「事実」とその「忘却」

ここ数日、SNS上の私の周りで「東日本大震災後の韓国の街」と題されたサイトがシェアされている。東日本大震災の後に、韓国の街に日本を応援する横断幕やメッセージが数多くあったという内容である。中には、小学生ほどの年齢と思しき子どもからのメッセージ…