安倍政権とはどういう怪物か

 7月15日の衆議院特別委員会で、安保法案の強行可決が行われた。16日の朝日新聞の社説や天声人語にもあるように、これは民主主義に対する重大な挑戦となろう。民主主義へ侮辱に侮辱が重ねられる昨今、小田実の「デモクラシー」観に、私は注目している。小田によれば、古代アテナイは「デモス・クラティア」、すなわち「民衆の力」を誇っていた。「温故知新」の形で小田は「デモクラシー」を捉え直しているが、中でも重要なのは、これは本来選挙とは関係がないと言いきっている点である。
 連日報道されているように、老若男女を問わず、国会の周辺はもちろん、各都市においても安保法案に反対するデモが行われている。かつての民主党政権において、国会周辺の反対デモの「声」を「音」と言っていた。安倍政権でも同様の見解なのであろう。
 我々はこう言い切ってしまおう。安倍政権は選挙の産物ではあっても、「デモクラシー」の産物ではないと。さらに言えば、対米従属的コロニアリストではあっても、「ナショナリスト」ではないと。その認識から始めなければ、この怪物としての安倍政権に向き合うことは適わないと、私は考えている。