中国の「民主化運動」への憧憬と日本政治

 2014年12月4日の朝日新聞の社説によれば、台湾での統一地方選に見られる民意は、「民主化をかたくなに拒む中国」が向き合うべき相手である。この民意の背景には、サービス貿易協定への反対運動の「ひまわり学生運動」がある。香港における「雨傘革命」も、2017年行政長官選挙制度への反発による運動であり、同じく共産党政府が向き合うべき相手である。
 なぜ共産党政府に対抗する運動を「民主化運動」として我々が意識するのだろうか。それは、現在の中国が民主化されていないという、オリエンタリズム的な潜在意識によるものであろう。翻って、現在の日本は民主化されているのだろうか。特定秘密保護法集団的自衛権をめぐって指摘されるように、安倍政権は戦後民主主義をなし崩しにしている。
 台湾や香港での共産党政府への反対運動を「民主化運動」とみなすことは、この日本の状況を逆照射する。すなわち、日本においては、微力ではないにしても主力たり得ていない「民主化運動」への憧れを、中国での運動に託している状況である。この憧憬に共感はするものの、それだけでは日本の政治は変わらない。主権が国民にある以上、政権の責任も国民にある。マララ・ユスフザイさんのノーベル平和賞受賞演説にもあるように、「待っていてはいけない」のだ。