三度と騙されない

社会にとって、反省することは必要不可欠である。しかし、その反省がいかなる形をとるかで、その社会の今後が決定されると思う。今回の参院選で、改憲が争点とならなかったと、安倍首相は言う。メディアもその見解を受け入れ、今後は改憲に焦点が当たると報じている。だが、私はこの反省に強く疑問を感じている。
 争点とは、政治家が作るのか。むしろ主権者たる国民が作るのではないのか。メディアで政治家が語らなくても、改憲についての各党の見解を国民が調べる方法は、いくらでもある。参院選の争点から改憲を除外したのは、安倍首相ではなく、国民に他ならない。
 選挙の争点から改憲が除外され、選挙後に再浮上するというのは、今回が初めてではない。我々は一度騙されている。また同じことを繰り返した。いわば、同じ詐欺師に二度騙されたようなものである。それは騙される側の不注意も大きな要因である。改憲を争点から除外したことを不誠実と評価して、アンフェアだと言ったところで、国民の反省とはなりえない。国民に必要なのは、「もう三度と騙されない」という反省ではないのか。
 私事ながらもう一言。昨年中国人女性と結婚して、今年から日本で共に暮らしているが、妻には主権者の資格がなく、選挙そのものから除外されていることも付言しておきたい。